レイモンド・チャンドラー『ザ・ロング・グッドバイ』精読 Chapter10
釈放されたマーロウを新聞記者のロニー・モーガンが迎える第10章 。 ロニー・モーガンはこんな風に登場する。bleakは寒々しい、うら寂しい、griferはペテン師、knock off は仕事が終わる、beatは~番、~詰めと言う意味。 He was about six feet four inches tall and as thin as a wire....
View Articleレイモンド・チャンドラー『ザ・ロング・グッドバイ』精読 Chapter11
第11章ではマーロウの事務所にメンディ・メネンデスというやくざ者が現れ、テリー・レノックスの意外な過去が明らかになる。 マーロウは久しぶりにダウンタウンの事務所に出勤する。マーロウの一日はいつもこんな風に始まるのだろう。 I slit the envelopes after I opened windows, and threw away what I...
View Articleレイモンド・チャンドラー『ザ・ロング・グッドバイ』精読 Chapter12
第12章では自殺したと伝えられたテリー・レノックからの手紙が届く。この手紙は、第3章、第4章の<ヴィクターズ>での会話と並び、読む者にテリー・レノックスという人物の持つ不可思議な魅力を鮮やかに印象づける。 手紙はマーロウのバードハウス型のメイルボックスに届いている。 The letter was in the red and white birdhouse mailbox...
View ArticleGood-bye"Slim" ~追悼ローレン・バコール~
ロレーン・バコールが8月12日に亡くなった。89才だった。 ハンフリー・ボガートが亡くなったのが1957年(57才)、フランク・シナトラは1998年(82才)、ジェイソン・ロバーズは2000年(78才)で亡くなっている。パートナーだった彼らに比べると圧倒的に長生きをしたといってよいだろう。 前から気になっていた自伝『私一人』(原題By Myself...
View Articleレイモンド・チャンドラー『ザ・ロング・グッドバイ』精読 Chapter13
第13章は新たに仕事の依頼があったニューヨークの編集者ハワード・スペンサーという人物に会うためにマーロウが出向いたリッツ・ビヴァリー・ホテルのバーのシーンで幕が開く。 バーの外にはスイミングプールがありマーロウは飛び込みをやっている肉感的な女性を見つめている。女性がプールから上がって男の待っているテーブルに戻って来る。wobbleは揺らすという意味。 She wobbled her...
View Article2014年に観た156本の映画<下>
遅れてきたシネアディクトの記録。2014年に観た156本の映画の記録。<下>は2014年7月~12月に観た81本の記録です。劇場とDVDまた2回目、3回目の鑑賞などゴチャ混ぜです。<上>はこちらから。76.アメリカン・ビューティ/サム・メンデス(1999) この反語的意味を含意している題名どおり、さまざまな問題を抱えたアメリカのサバービ...
View Articleレイモンド・チャンドラー『ザ・ロング・グッドバイ』精読 Chapter14
アイリーン・ウェイドがマーロウの自宅を訪ねてくる第14章。 マーロウは、オフィスに伺うのは気は進まなかったというアイリーンを招き入れ、コーヒーを淹れる。cheesyは安っぽい、crumpleはももみくしゃにするという意味。 I went out to the kitchen and spread a paper napkin on a green metal tray. It looked...
View Article『LAヴァイス』と2つの『ロング・グッドバイ』
トマス・ピンチョンの『LAヴァイス』(原題はInherent Vice)をポール・トーマス・アンダーソン監督が映画化している。2015年の4月18日から日本でも公開されている。映画のタイトルは『インヒアレント・ヴァイス』と原題に忠実だ。 映画を観る前に2012年に翻訳が出た当時から気にかかっていた本書を慌てて読んでみた。...
View Article2つの『リバーズ・エッジ』 River's Edge
岡崎京子の『リバーズ・エッジ』には元ネタがあることはよく知られている。 ティム・ハンターが監督をした映画『リバース・エッジ』(原題River’s edge 1987年)だ。この映画は日本語のタイトルが『リバース・エッジ』となっているが、原題の発音を正確に日本語にすると当然リバーズ・エッジとなり、岡崎京子の『リバーズ・エッジ』と同一の作品名だ。...
View Articleレイモンド・チャンドラー『ザ・ロング・グッドバイ』精読 Chapter15
マーロウがロジャー・ウェイドのメモに残されていたドクターVの手がかりを探す第15章。 もぐりの医者は限りなく多い、それらしい人物を見つけ出したとしても、ロジャー・ウェイドのことだから、もともと実在しない人物のことをいっている可能性もあると勘ぐるマーロウ。 And even if- I found somebody that fitted and had the right initial,...
View Article2015年上期に観た106本の映画
遅れてきたシネアディクトの記録。2015年1月~6月に観た映画106本の記録。劇場とDVDまた2回目、3回目の鑑賞などゴチャ混ぜです。 1.ジャコ萬と鉄/深作欣二(1964) 北海道日本海沿岸の鰊猟場を舞台にした物語。やん衆と呼ばれる本州からの出稼ぎ漁 師たちと網元の対立などが丁寧に描かれる。ハッピーエンドに終わる活劇ドラマとしてよ...
View Articleレイモンド・チャンドラー『ザ・ロング・グッドバイ』精読 Chapter16
ロジャー・ウェイドの残した手がかりの「ドクターV」の最有力候補ドクター・ヴェリンジャーをマーロウが訪ねる第16章。...
View Articleシネマのなかのリビング~『勝手にしやがれ』~
映画の中の住まいや暮らしの話題「シネマのなかのリビング」。 『勝手にしやがれ』はヌーベル・バーグの記念碑といわれているジャン=リュック・ゴダール監督の作品です。 大胆でスピーディーな展開、ハンディカメラを駆使した臨場感あふれるカメラワーク、それまでになかった人物造形など当時、世界の映画界に衝撃を与えた魅力は今も色褪せていません。...
View Articleスティーブ・ジョブスとアイクラー・ホームズ
スティーブ・ジョブスは伝記『スティーブ・ジョブス』(ウォルター・アイザックソン2011)で、自らが育った家とされる(*)アイクラー・ホームズを賞賛している。(source : FORTUNE) アイクラー・ホームズとはジョゼフ・アイクラーが1950年前後からカリフォルニアで開発・販売していた建売住宅のことだ。...
View Articleシネマのなかのリビング~『ル・コルビュジエの家』~
映画に出てくる住まいや暮らしの話題をつづる「シネマのなかのリビング」。 隣人が突然、家の壁にハンマーで穴を開け、こちらの家に向けて窓を作り始めたら・・・しかもその隣人がちょっと怖い感じの人物だったら・・・。 『ル・コルビュジエの家』はそんな他人ごととは思えない設定で始まります。...
View Articleイームズ・ハウスと「パワーズ・オブ・テン」
イームズ・ハウスはケース・スタディ・ハウス#8として1949年にチャールズ&レイ・イームズの自邸として建てられたものだ。チャールズと朋友エーロ・サーリネンの共同設計だ。(Source:Wikipedia Eames House,"Eames House" by Flickr.com user "Ilpo's Sojourn" )...
View Article『小早川家の秋』小津安二郎監督(1961)
小津唯一の東宝作品。いつもの娘の結婚ではなく道楽者の父親の生と死が主題。中村雁冶郎や浪速千栄子のような雰囲気を醸し出す役者はもういない。橋の上に喪服が連なる葬送シーンと笠智衆のラストのセリフ「せんぐりせんぐり生まれてくる」に小津流虚無感が漂う。copyrights (c) 2015 tokyo culture addiction all rights reserved. 無断転載禁止。
View Article戦争の新たな様相~『帰還兵はなぜ自殺するのか』を読んで~
わたしたちは今の戦争の実態をほとんど知らない。『帰還兵はなぜ自殺するのか』(デイヴィッド・フィンケル 2015)は、そうした無知なわたしたちに大きな衝撃を与える。 本書はイラク戦争から帰還した兵士たちが、戦闘が原因で負うことになったPTSD(心的外傷後ストレス障害)とTBI(外傷性脳損傷)に苦しむ姿を描いたノンフィクションである。...
View Articleレイモンド・チャンドラー『ザ・ロング・グッドバイ』精読 Chapter10
釈放されたマーロウを新聞記者のロニー・モーガンが迎える第10章 。 ロニー・モーガンはこんな風に登場する。bleakは寒々しい、うら寂しい、griferはペテン師、knock off は仕事が終わる、beatは~番、~詰めと言う意味。 He was about six feet four inches tall and as thin as a wire....
View Article2015年のアクチュアリティ ~キング・クリムゾン日本公演 2015~
もはや旧聞に属するがキング・クリムゾン日本公演 2015を観た。(source:https://www.facebook.com/kingcrimsonofficial/timeline) すっかり出遅れてしまい、当初日程のチケットが軒並みソールド・アウトのなか、あわててチケットを取って観たのが12/17(木)のオーチャード・ホールでの追加公演だ。...
View Article