インターナショナル・スタイルと抽象表現主義絵画~白い壁を飾るものは~
1932年(昭和7年)、ニューヨーク近代美術館(MOMA)で「モダン・アーキテクチャー:インターナショナル展覧会」Modern Architecture : International...
View Articleものの輪郭を求めて~深澤直人のデザイン~
優れたデザインは、その行為が個人に由来するものでありながら、同時に他者に対して開かれた客観性のようなものを感じさせるものだ。 深澤直人のデザインもそうしたオープンネスを感じさせるデザインだ。 優れたデザインを語った言葉を読むのも興味深い。デザインという行為も、言語化という行為も、ともに抽象という行為を含んでいるからであろう。...
View Articleアクション・ペインティングとフリー・ジャズ~ポロック作品をジャケットに使ったオーネット・コールマンの《フリー・ジャズ》
アナログレコードが人気だ。デジタルデータにはない厚みのある音もさることながら、「ジャケット愛」もその人気の理由だそうだ。 LPレコードが主流だった時代、アルバムジャケットのアートワークはひとつの作品として存在感を持っていた。 アーティストやデザイナーが手がけた優れたデザインのアルバムジャケットも少なくない。...
View Article映画『ブレードランナー2049』~失われた大地と建築、都市、記憶~<前編>
「太陽・緑・空間」。CIAM(近代建築国際会議)が1933年にアテネ憲章として提唱した近代都市のスローガンだ。元ネタはル・コルビュジエの《輝く都市》のコンセプトである。 このスローガンに既に欠落しているものがある。それは<大地>であると磯崎新は指摘する(『栖すみか十二』、住まいの図書館出版局、1999年)。 建築の始まりは、「始原の小屋」 primitive...
View Article映画『ブレードランナー2049』 ~失われた大地と建築、都市、記憶~ <後編>
(*Blade Runner 2049,source :https://www.nytimes.com/2017/10/08/movies/blade-runner-2049-box-office.html) 磯崎新はミース・ファン・デル・ローエの《レイクショア・ドライブ・アパートメント》に言及してこういっている(『栖すみか十二』、すまいの図書館出版局、1999年)。...
View Article映画『2001年宇宙の旅』から半世紀の今を見据えるアート展<前編>~『1/2 Century Later.』 by THE EUGENE Studio~
今年2018年は1968年から50年、半世紀に当たる。 1968年はスタンリー・キューブリック監督の映画『2001年宇宙の旅』が公開され、フィリップ・K・ディックの小説『アンドロイドは電気羊の夢を見るか』が発表された年だ。 (*『2001年宇宙の旅』日本公開時(1968年)のポスター)...
View Article映画『2001年宇宙の旅』から半世紀の今を見据えるアート展<後編>~『1/2 Century Later.』 by THE EUGENE Studio~
寒川裕人(Eugene Kangawa)が率いるTHE EUGENE Studio(ザ・ユージーン・スタジオ)は、現代美術の領域を社会のフィールドに拡張させながら、アクチュアルなテーマをさまざまなフォームで展開している、新しいアーティスト像として注目を集めている企業だ。 例えば、”Agricultural...
View Articleクルツィオ・マラパルテと「私のような家」 ~ 《マラパルテ邸》 ~
息を飲む、まさにそんな光景。世界で最も美しい家と言われてきたマラパルテ邸(Casa Malaparte カーサ・マラパルテ 1939)である。(*source : http://lisaparigi.com/2016/07/casa-malaparte/)(*source : http://lisaparigi.com/2016/07/casa-malaparte/)...
View Article装飾とデザインを考える~「装飾は流転する」展をきっかけに~
装飾とは時代遅れの産物か? シンプルなモダンデザインが当たりまえになっている時代にあって、装飾は過去の因習や特権の象徴、時代遅れのスタイル、バッドセンスの意匠、と完全に悪者扱いである。...
View Articleシンプルの系譜#1 ~ ガブリエル ”ココ” シャネル ~
モダンデザインを一言でいうとシンプルなデザインということになるだろう。 広辞苑には「シンプル」とは「単純なさま」とある。シンプルとは、色・かたち・素材が簡素で抑制されているさまである。...
View Article物質の発見、ものとの対話 ~ 「くまのもの-隈研吾とささやく物質、かたる物質」展 ~
『建築的欲望の終焉』、『負ける建築』、『自然な建築』、『反オブジェクト』。著作の題名をたどるだけで建築家 隈研吾が目指してきたものが、一貫して<反建築>であることが分かる。 隈本人の言葉で言えば「自己中心的で威圧的な建築を批判したかった」ということになる。隈はそうした建築をくオブジェクト>と名づけた(『反オブジェクト』...
View Articleシンプルの系譜#2 ~ アドルフ・ロース ~
モダンデザインを一言でいうとシンプルなデザインということになるだろう。 広辞苑には「シンプル」とは「単純なさま」とある。シンプルとは、色・かたち・素材が簡素で抑制されているさまである。...
View Articleル・コルビュジエの肉声が語る芸術、建築、人生 ~ DVD『ル・コルビュジエ』から~
ル・コルビュジエは50冊を越える著作を残している。モダニズム建築のもうひとりの巨匠であるミース・ファン・デル・ローエが一冊の著作も残さなかったのとは対象的であり、その多作さと能弁な語り口は、言葉を能くする建築家のなかでも群を抜いている。 その能弁さゆえに、逆に全体としての統一像が結びにくいのが建築家ル・コルビュジエだ。(*Photo by Michael-LE CORBUSIER @ THE...
View Article湾岸はバブルのフロンティアだった~バビロン再訪#1~
今やタワーマンションのメッカとして知られ、すっかり生活のエリア、暮らしの場として定着した感のある湾岸エリアだが、東京湾に面する横浜や東京のウォーターフロント(★1)がフロンティアとして注目を集めたのがバブル時代だった。湾岸(ウォーターフロント)は都市のフロンティアだった 当時、ウォーターフロント開発事例視察と称して盛んに海外ツアーが組まれ、多くの不動産屋が海を渡った。...
View Articleディメンションの問題~バビロン再訪#2~
高級マンションはどうあるべきか、そもそも「高級」とはなにか、そんな問いを携えて老建築家の銀座8丁目の事務所を訪ねた。まさにバブルがピークを迎えんとする1989年のことだ。 「まずはディメンションの問題だ」。照明が抑えられた、静謐さが支配する事務所で老建築家は話を始めた。...
View Articleシンプルの系譜<3> ~足利義政~
モダンデザインを一言でいうとシンプルなデザインということになるだろう。 広辞苑には「シンプル」とは「単純なさま」とある。シンプルとは、色・かたち・素材が簡素で抑制されているさまである。...
View Article10億円の群像~バビロン再訪#3~
バブルの頃、都心部でまともなマンションを企画すると億ションどころか10億円マンションになった。坪単価で@2,000万円を超えるような超高額のスーパー億ションだ。当時、超高額マンションを供給するプレイヤーの双璧は、財閥系の三井不動産と独立系の大建ドムスだった。大建ドムスの販売は住友不動産販売が請け負っていた。...
View Article妹島和世のすみだ北斎美術館
プリッカー賞受賞建築家・妹島和世による最新美術館を都内で観られるのが、すみだ北斎美術館です。 すみだ北斎美術館は、『富嶽三十六景』や『北斎漫画』などで有名な江戸後期の天才浮世絵師・葛飾北斎(1760-1849)が、本所割下水(現墨田区亀沢1~4丁目)で生まれ、長年その周辺に住んだことから、亀沢3丁目の日進公園に隣接して建てられています。本所割下水跡は現在「北斎通り」と命名されています。...
View Articleバブルが日本のインテリアを洗練させた ~バビロン再訪 #4~
徒花(あだばな)と語られることが多いバブルだが、バブルが日本にもたらしたものの一つにインテリアの洗練と成熟がある。 70年代以降、コンスタントに拡大してきた国内の家具の売上は、バブル崩壊直後の1991年をピークに減少傾向に転じ、最近の市場規模はピーク時の半分どころか1/3にまで落ち込んでいる。...
View Articleシンプルの系譜<4> ~ボー・ブランメル~
モダンデザインを一言でいうとシンプルなデザインということになるだろう。 広辞苑には「シンプル」とは「単純なさま」とある。シンプルとは、色・かたち・素材が簡素で抑制されているさまである。...
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